大津企業景況調査
 
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(概 況)

景気は好転!各項目が軒並アップ!

 

 平成18年7〜9月期の大津企業景況調査の結果がまとまった。調査結果を示す指数としてDI指数(景気動向指数)を採用している。DI指数は実数値などの上昇率を示すものでなく、強気、弱気などの経営者マインドの相対的な広がりを意味する。

 

 全体

景気は全般的に好転している。全体のDI指数をみると「業況」は前期の▲4から今期+4に好転している。「売上」指数は▲6から+7に好転し、「採算水準」も▲6から+7に好転した。「従業員」は人員不足感が高まっている。「資金繰り」は▲2から+5に好転し、資金は借り易くなっている。

このように景気は全体に良くなっているが、業種間でバラツキがある。製造業、サービス業では「業況」がさらに良化し、建設業でも業況の改善がみられた一方で、卸売業、小売業では業況指数がまだマイナスで改善は進んでいない。ただし小売業内でも業況改善している企業が一定割合あり業界内に温度差がある。

 

 建設業

DI指数をみると「業況」は前期の▲5から今期0に改善している。「売上」が▲15から+10に改善し、「採算水準」が▲15から0に改善したことが要因である。「問合せ」も▲15から+5に改善している。「従業員」も0から+15と不足気味になっている。ただし「資金繰り」は0から▲5になり好転はみられない。

 

製造業

DI指数をみると「業況」は前期の+10から今期+30にさらに好転している。「売上」が+30から+60に改善し、「採算水準」が+40から+60にさらに好転したことが要因である。「従業員」は+10から+20になり人員不足傾向が強まっている。「資金繰り」は0であるが、短期、長期の「借入難易度」はともに前期と同じく+20であり、借入しやすい状況にある。

 

卸売業

DI指数をみると「業況」は前期の▲10から今期▲10と改善がみられない。「売上」が▲10から▲20に悪化し、「採算水準(経常利益)」はプラスであるものの、「採算」が▲20から▲30に悪化しているためである。「問合せ」は▲40から▲30と低調に推移し、「従業員」も▲10から▲10とやや過剰感がある。ただし「資金繰り」は悪化していない。

 

小売業

DI指数をみると「業況」は前期の▲17から今期▲7と悪化傾向が縮小している。「売上」が▲20から▲10に減収傾向が縮小しているが「採算」の悪化傾向が止まっていない。ただし業況改善している企業が17%あり当業界内で温度差がある。「問合せ」は低調に推移している。「従業員」は+7から▲3に悪化し、人員過剰感が出てきている。

 

サービス業

DI指数をみると「業況」は前期の+7から今期+14にさらに好転している。「売上」が+3から+14に改善し、「採算水準」が+3から+21にさらに好転したことが要因である。「問合せ」は▲7から+7に好転し、「従業員」は+14から+21に人員不足が加速している。「資金繰り」も▲7から+14へ好転している。

 

今の経済情勢に対する主な意見は次のとおり。

「素材の値上がりを売価に反映できにくいため利益を圧迫」

「好調なのは都市部、大企業。地方の中小・零細企業には景気回復は実感なし」

「マンションが多数オープンするので採算は好転する見込み」

「デジタル放送が5年後に迫っているが、消費者の動きは鈍い」

「まじめに働く従業員が幸福感を味わえる社会にしてほしい」

「法改正によるインパクトが大きい」

「公共投資抑制を軽減して地方経済活性化を望む」

景況感を反映して明るい話も少し出てきたが、今後を楽観視せず、さらなる経営努力が必要と認識している意見が多い。

 

原油高騰に関しての主な意見と具体策は次のとおり。

(現状)

「材料費の値上げ圧力が高まる」

「素材の値上がりを売価に反映できにくいため利益を圧迫」

「燃料コスト、通勤費等経費の増加」

「投資すべきプロジェクトが延期に」

「原油使用の省エネ、発電事業が不採算になり撤退」

(具体策)

「販売価格への転嫁を交渉・推進」

「顧客に説明してコストアップを納得してもらう」

「外注業者へのコストダウン交渉」

「無駄の排除と生産力アップを図る」

「効率の良い配送を心がける」

「効率的な運航、アイドリングストップの実行」

「社用車を小型化、軽自動車に切替え」

「自動車保有台数の削減、ハイオク車を普通ガソリン車に切替え」

各社とも原油高騰による素材価格高騰の影響を受け、利益圧迫要因になっているが、上記のようにいろいろな対策を実行し、影響を最小限にするべく努力している。

 

来期の見通しについて、全体では「業況」は好調が持続する見方が多い。「売上」は増加し、「採算水準」はさらに向上し、「従業員」の不足傾向はさらに加速するとみている。業種別では、製造業、サービス業が好調を持続するが、建設業、卸売業、小売業は慎重な見方をしている。

来期の設備投資については、設備投資計画があると回答した企業の割合が23%で、製造業では50%、卸売業では40%を占める。設備投資の中味をみて注目すべきは、製造業者の33%が生産能力増強投資に踏み切ろうとしていることであり、ここに製造業者の景気拡大見通しが浸透していることが見てとれる。

(中小企業診断士 田中清行)

       

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