大津企業景況調査
 
● (概 況)


テロ事件が不景気に追い討ちをかけ、
景気は引続き悪化



 政府の関係閣僚会議に提出された9月の月例経済報告においての景気認識は、「景気はさらに悪化している」から「景気は引続き悪化している」と表現の厳しさは変わらない。その理由として、「個人消費は、おおむね横ばいの状態が続いているものの、一部では弱い動きがみられる。失業率は過去最悪の5%台となり、求人や残業時間も弱含んでいる。輸出、生産が大幅に減少し設備投資も減少している。」ということを挙げている。先行きについては、「世界経済の一層の減速や在庫率が高水準にあることなど、懸念すべき点が見られる。」としている。この報告は9月11日までに固められたため、米テロ事件の影響が含まれていない。日経平均株価が1万円を大きく割り込んだことを考えると、現時点の景気実態は月例報告の判断よりも悪いと言える。
 この度、平成13年度の第2期である7〜9月期の景況調査の結果がまとまった。7〜9月期のDI指数は、日本経済の動きと同様に、4〜6月期に比べて総体的にマイナス幅の拡大が多く見られ、景気が悪化していることが窺える。売上高が大きく13.1ポイント、採算(経常利益)が4.0ポイント、採算の水準も大きく13.1ポイント、業況が9.1ポイント、取引の問い合わせが8.1ポイントとマイナス幅の拡大が見られる。また、金融関係の3項目については、資金繰りが8.1ポイント、長期資金借入難易度が6.0ポイント、短期資金借入難易度が3.1ポイントとすべてのマイナス幅が大きく拡大して悪化している。
 業種別の動向は、建設業が売上高、採算(経常利益)、採算の水準、業況、取引の問合せ、従業員数について4〜6月期よりマイナス幅が拡大した。特に、取引の問い合わせのDI指数は▲65.0と大きく厳しい。金融関係の資金繰りと長期資金借入難易度はプラスからマイナスに転化し、短期資金借入難易度だけはプラスのまま推移している。製造業は売上高や採算の水準のマイナス幅が大きく落ち込んだほか、他のほとんどの項目も悪化していて、採算(経常利益)と業況のDI指数が▲60.0と大きく厳しい。卸売業では、売上高、採算(経常利益)、業況、取引の問い合わせ、従業員がマイナス幅が大きくなって悪化し、資金繰りだけはマイナス幅が小さくなり、採算の水準、長期資金借入難易度と短期資金借入難易度はプラスがゼロになった。小売業については、すべての項目がマイナスになり、そしてマイナス幅も拡大して悪化している。サービス業では、採算の水準だけがマイナス幅が拡大したが、採算(経常利益)、業況、取引の問い合わせ、資金繰りと短期資金借入難易度については、マイナス幅が縮小して好転した。特に、従業員数については、マイナスからプラスに好転している。
 景気回復基調にあった平成12年7〜9月期と比べると、次の通りである。当時の景気認識は「景気は厳しい状況をなお脱していないが、緩やかな改善が続いている。各種の政策効果やアジア経済の回復などの影響に加え、企業部門を中心に自律的回復に向けた動きが続いている。」であった。資金繰りだけはマイナス幅が少し縮小し改善されているが、他の項目はすべてマイナス幅が拡大悪化している。調査対象企業から提起されてくる経営上の問題点については、まず「テロ事件が不景気に追い討ちをかけ、将来の見通しは最悪ラインまで達していると思われる」というように、今回の事件による悪影響は予想もできないほど大きいと思われる。次に、取引先の倒産や廃業、金融機関の融資の困難さによる資金繰りの厳しさは依然として変わっていない。売上高低下の原因として、消費の低迷、IT不況の問題、ディスカウント店増加による安売りの激化、大型店の営業日や営業時間の拡大、メーカーの過剰設備による供給過剰、大手企業の進出や同業者の競争激化などが挙げられている。このような厳しい外部環境に対して、現状を打開するべく新しい事業を模索中との意見もある。しかし、人材確保難によるサービスレベルの低下、後継者難、従業員の高齢化に伴う効率低下のように企業内部においても厳しい環境となっている。
 このように、前期(1〜3月期)に比べるとやや改善の兆しが見えるが、1年前に比べると未だ厳しい状況が続いているようである。

 主要DI指数の前年比較
売上高 採 算
(経常
利益)
採算の
水準
業 況 資金繰り 長期資
金借入
難易度
短期資
金借入
難易度
平成13年
7〜9月期
▲39.4 ▲42.4 ▲32.3 ▲37.4 ▲20.2 ▲12.1 ▲6.1
平成12年
7〜9月期
▲24.2 ▲34.3 ▲14.1 ▲26.3 ▲23.2 ▲4.0 ▲4.0

 このように、前期と比べても、1年前と比べても非常に厳しい状況が続いている。
 また、10〜12月期の見通しについては、業況のマイナス幅が少し拡大し悪い見通しとなっているが、他の項目はそれぞれマイナス幅が縮小し好転の見通しとなっている。DI指数の▲40.0以下は全体では取引の問い合わせだけであるが、業種によっては厳しさに差がある。建設業でDI指数が特に悪いのは、売上高、採算(経常利益)、業況、取引の問合せである。製造業では売上高、採算(経常利益)、業況、取引の問合せ、従業員数が特に悪い。小売業では売上高、採算の水準、業況、取引の問い合わせ、サービス業では取引の問い合わせが悪い。卸売業では特に悪いDI指数はない。
 来期の設備投資については、厳しい経済環境下のためであろうか、計画ありが前期より4社減って19社となった。その内容は設備更新、合理化・省力化、生産力強化の順に多い。
       
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