大津企業景況調査
 
● 全 体
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(概 況)
──── 長引く景気低迷 ────
〜その打破には、身近な改革から〜

 個人消費低迷の長期化による販売不振、金融・証券会社の相次ぐ経営破綻に伴う金融システムに対する不安感、さらに世界的規模による大競争時代の本格化など日本の産業構造が大きく変容する中で、企業は業種・業態を問わず、その対応・取組が極めて厳しい今日である。このような難しい経営環境下において、適切にして妥当な経営活動を指向するためには、公正で迅速性ある客観的情報が求められる。情報化時代の現在、景気動向に関する資料を継続的に作成され、その成果と信頼性は大方の認めるところであり、広く各方面で活用されている。ただ、一つ問題があるとすれば、これらの調査結果は殆どが全国的、広域サイドの情報である。

 本年度より本所においても、大津の景気動向を把握すべく、「大津企業景況調査」を実施し、その第一号の報告書をまとめた。この資料を話題として活用し、経営の参考にしていただければ幸いである。

 なにぶんにも初めての調査のため、時系列的な解析は出来ないが、今期(平成10年4〜6月)の大津商工会議所管内の景気動向は、年度初めの期ということを考慮しても相変わらずの需要停滞、民間設備投資、公共事業の減少などにより、売上高の減少企業が増加企業を大きく上回り、DI指数は▲46.9とかなり悪く、なかでも建設業▲78.9、製造業▲60.0と大変悪い。
 また、これ以外の業種においても、売上高の減少や取引引合の減少を多くの企業が訴えている。このような受注減少の傾向は自ずから市場競争の激化を招き、受注単価の引き下げ、販売促進経費など支出増加を来たし、当然のことながら企業の収益性は低下することになり、全業種における採算(経常利益)のDI指数は▲53.0と悪く、今期の採算性は卸売業のみがDI指数50.0で、これ以外の全ての業種において赤字企業が黒字企業を上回って、採算水準のDI指数は▲11.2と悪い。このように業況が全般的に悪く、仕事量が減少しているために、逆に従業員については卸売業以外の業種において、若干従業員過剰化の傾向でDI指数は▲14.2になっている。
 このように深刻な経済状況下にあっても、各企業の資金繰りや長期、短期の借入金調達難易度については約半数以上の企業が不変と答えている。その中で製造業と小売業で悪化を訴えているが、全体的にDI指数の他の項目に比べてみても、特にさほどの厳しさが窺えない。巷間話題の貸し渋り現象などはこの調査対象企業では見受けられない。これは本県企業の特性の一つでもあり、経営に非参加の資産(土地)などを多くの経営者が保有しているなど比較的恵まれた経営資源と、今一つは本県経営者の共通的な性格によるものが多いと推測できる。

 来期(平成10年7月〜9月)の見通しについては、売上高、採算(経常利益)、資金繰り、長期資金借入難易度など全体的におおむね各業種とも、それぞれDI指数のマイナスは減少し、好転の兆しが窺える。これは業況が微妙ではあるが良くなるのか、それとも長引く不況感からの脱出という精神的願望か、また国・県などの総合経済対策への期待から来るものではなかろうか。しかし現実は競争激化の建設業や在庫調整が今一つの製造業、依然売り上げ不振の続く卸・小売業では、業況や長・短期借入金調達の難しさは増している。

 次に設備投資について、抑制基調の中で調査回答企業98社中27社が何らかの投資計画を持っており、そのうち計画通り実行するという積極的な企業は16社である。設備投資は企業を継続するためには必要不可欠であり、特に経済状況が沈滞化している昨今、打開を図るため是非とも、その早期の実行が望まれる。

 最後に直面している経営上の問題点について、意見が回答されたのは48社であった。内容を検討するとどこでも通用するような一般的要望、自社が取り組んでいるリストラの紹介が多く見受けられたが、最も多く深刻なものは売上の不振とそれを原因として生じる問題である。当面、売上高増大のための方策と自社における適正損益分岐点の把握が大切でなかろうか。また今日的な環境改善のための投資、依然と続く人材不足(建設業と小売業において)、銀行の貸し渋りも卸売業とサービス業で各1社づつ出ており、さらに民営宿泊施設を圧迫する公営施設の充実等々が列挙されていた。

 設備投資をはじめ身近で生じている問題の改革を大きく深刻に考えすぎず、実行可能な事柄から解決する努力を期待し、これらの集積が景気回復のきっかけになることを期待したい。
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